私たちは変わりゆく時代の中でも変わらない価値を提供し続けるべく、長年培ってきた技術、及びその発展を通して、100年以上にわたり新たな製品を創造してきました。創業当時の主力製品であるカーボン紙の存在感が薄れていく現代においても、新たに生み出された私たちの製品は多くの産業とその先の人々の生活に浸透し、何気ない毎日を支えています。ここでは、現代の主力製品であるサーマルインクジェットインクを中心に、そんな私たちが取り組んできたプロジェクトをご紹介します。
生産効率の向上を検討されていた建材メーカーのA社に、
溶剤系白インクのベタ塗り印刷と黒インクの印字を組み合わせ、
あたかもラベルを貼っているかのような印刷を実現するソリューションを提案した事例です。
印字内容として一般的な文字や記号でなく、ベタ塗りを前提とした使用方法を提案することで、
TIJ及び溶剤系白インクの新たな用途を切り拓きました。
従来A社は、様々な産業用建材の管理目的のため、各部材に必要情報を印刷したラベルシールを貼っていました。しかし一般的なラベルには、環境次第で汚れてしまう、剥がれてしまう、といった欠点があり、製品や在庫の管理に支障をきたしていました。さらに、その作成や貼付作業にかかる手間や、廃棄による環境への負荷も解決すべき課題となっていました。このような背景から、ラベルを貼る代わりに建材に直接情報を印字する「ラベルレス印刷」への移行を後押しする印字ソリューションを模索されていました。
私たちの扱うTIJインクの多くは、基材に可変情報などを直接印字する目的で使用されています。そのため、当初は黒インクによる建材への直接印字が適当と思われました。しかし、建材の色が暗色であったため、黒インクでは視認性が低く、かつ白インクでの印字でも基材の特性から印字視認性を十分に上げることができませんでした。そこで私たちは、部材に溶剤系白インクをベタ塗りし、その上に黒インクで情報を印字する二重印刷を提案しました。この大胆な提案により、お客様が抱えていた複数の課題を一気に解決し、生産効率の向上に貢献することができました。誰でも思いつきそうな発想ではありますが、TIJ方式で使用できる溶剤系白インクをラインナップしていた私たちだからこそ実用化できたという点において、ゼネラルの精神を体現した事例です。
製薬メーカーであるB社からの要望を機に、
薬のブリスターパックへの印字に適する「溶剤系速乾インク」を開発した事例です。
同社はこれまでCIJ方式を使用していましたが、機器のメンテナンスや、
インクの安全性及び臭気に対する改善が求められていました。
そこで私たちは、従来のCIJ方式による印字品質を維持、
または向上させつつCIJ方式の諸課題を解決できるTIJ方式を提案するに至りました。
従来使用されていたCIJ方式は、機器のメンテナンスに手間がかかるほか、溶剤インクの臭気が強いという特徴があります。また、CIJ方式の特徴でもあるドット印字では高精細な印字が難しく、特に凹凸や光沢のあるブリスターパックにおいては十分な視認性を実現できていませんでした。薬の取扱者や服用者にとって、薬の情報を正確に理解することは非常に重要です。そのため同社は、こうした懸念を払拭できる印字方式への早急な置換を急がれていました。
B社が抱いていた懸念は、インクに関するものを除き、ローメンテナンスを謳うHP Inc.のTIJ方式の採用で解決すると思われました。一方インクに関しては、臭気問題は即解決できたものの、CIJ方式の溶剤インクに匹敵する速乾性を持つインクの開発には腰を据えて取り組む必要がありました。そこで私たちは、十分なヒアリングや、製造ラインの視察、試作品の提供等を通して着実にインクの性能を目標に近づけていき、最終的に同社が安心して印字方式を変更できるインクの開発に成功しました。この高い速乾性と鮮明性を兼ね備えたインクを採用することで、残されていたインクに関する懸念も払拭されることとなったのです。当インクの開発は同社の現場で高く評価されただけでなく、ゼネラルの開発力が業界に知れ渡るきっかけともなりました。
自動車関連部材を製造するC社で採用されていた熱転写リボンが廃番となったため、
それに代わる印字手段としてインクカートリッジを用いるTIJ方式を提案した事例です。
併せてインクジェット用UV硬化白インクおよび黄色インクを提供することで、
従来性能の継承のみならずコスト効率の向上を実現し、印字プロセスの最適化に貢献しました。
新たな対応に迫られた中、同社と協力してソリューションを立ち上げた事例です。
C社は長年、私たちが供給する白色・黄色の特殊な熱転写リボンを使用し、ゴムベルトの原材料であるゴムスリーブに品名や品番を印字していました。ところがこの熱転写リボンに使われている原材料が廃番となり、代わりの材料も無かったため、私たちは2年分のストックを確保してこのリボンの供給をやむなく終了。終了1年後に同社から「なんとか再生産できないか」という要望が寄せられる事態となりました。そして、再生産は叶わない中でも何とかご要望に応えたい、という強い思いが、私たちを解決策の模索へと突き動かすこととなりました。
熱転写リボンに代わる印字方式としてサーマルインクジェット方式はすぐに浮かびましたが、併せて当用途に適したインクを提案できるかは確認を要しました。そのため私たちは、改めて使用される工程や要求事項の整理を行い、最終的にサーマルインクジェット方式と併せて当時開発されたばかりのUV硬化白インク「IQ131」を提案するに至りました。そして同社のご協力の下、より実使用に近い条件にて複数回のテストを実施したところ、ゴムスリーブ上でも十分な耐擦過性を発揮することが確認できました。さらに、黄色インクとしては同じく開発されたばかりのUV硬化インク「IQ134CY」を選定。これらのインクを活用することで、従来の熱転写リボン方式以上の品質を維持しながら、コストや効率面の課題を解決することができたのです。
生活用品を製造するD社の、製造現場におけるトレーサビリティの効率化を目指し、
UHF帯RFID技術を活用したカスタマイズソリューションを提案した事例です。
本プロジェクトでは製造工程全体の正確な進捗管理とデータの記録のために、
カラーバリエーションの他、高温や液体環境にも対応できるRFタグが必要とされていました。
私たちは「ネジ型RFタグ」にカスタマイズを加えることでこれらの要望を満たし、
同社の課題解決に貢献しました。
D社は製造工程の進捗を管理するため、バーコードを主に活用するシステムを製造用部品に導入していました。しかし製造工程では高温処理や液体による洗浄が繰り返し行われるため、バーコードを含む各種情報を表示するラベルが剥がれ、管理の方法自体に問題が発生していました。また、過去からRFIDを用いた一元管理を考えていたものの、こうした特殊な環境に耐え、かつ製造現場の運用にマッチするRFタグが見つかっていなかったことから、利便性とはかけ離れた管理方法を続けざるをえない状態でした。このような状況において現場からは、製造環境や運用に適したRFタグをいち早く見つけ出し、RFIDによる一元管理を実現したいという声が高まっていたのです。
一元管理に向けた問題を解決するため、D社の製造工程に特化した「ネジ型RFタグ」の開発に着手しました。本プロジェクトの核となるのは、溶剤による洗浄や100℃を超える熱処理といった厳しい条件下でも使用可能なRFタグの実現です。従来の鉄製ネジからステンレス製ネジに変更するなど、RFタグに使用する材質や形状をカスタマイズすることで、運用に必要な性能を大幅に向上させました。さらに実際の製造現場に足を運び、RFIDリーダーやアンテナの種類、電波強度と設置状態を何度も検証し、読み取り精度を向上させることで、数多ある製造工程それぞれに最適なシステム設計を提案しました。1年以上の試行錯誤を経て、多岐にわたるニーズに応える品質と性能を両立したRFタグの実用化に成功したのです。
大手電子部品メーカーE社に対し、
厳密な品質管理が求められる「クリーン環境下でのコーティング加工」技術を提供した事例です。
塵や不純物が混入しない環境でコーティングを施し、
電子部品の高品質な仕上がりの維持に貢献しました。
大規模な設備投資を行い、クリーンルーム対応の最新機器を導入するきっかけとなった事例です。
D社は製品に対して精密かつ耐久性のあるコーティング加工を求めていましたが、自社にクリーンルームに対応できる加工環境がなく、特殊なコーティング技術を持つ外部企業への委託が必要でした。また、従来の外部委託では、コーティングと焼成工程を異なる企業で実施していたため、品質のばらつきが発生しやすく、管理コストも増大していました。そのためこれらの工程を一貫して対応できる技術が求められていました。
クリーン環境でのコーティングおよび焼成加工を一貫して行うため、クリーンルーム対応の「コーティング機器」と「焼成機器」を導入。ご要望に応じた迅速な対応と品質管理を目指し、一貫対応のための設備を独自に整備しました。また、D社から提供されたインクの組成についても調整を行い、最適な塗布条件を探るためのテストを繰り返し実施。さらに、塗布したインクが均一に乾燥するための微調整を行い、品質を安定させるための検査機器も導入。リアルタイムで品質を監視する機能を追加しました。これらにより、電子部品に対して精度の高いコーティング技術を習得し、同社が要望される品質を実現することが可能となりました。
デジタル化の進展やトレーサビリティの重要性が高まっている時代において、非接触での読み書きを可能にする自動認識技術や、その技術を支える印字ソリューションの需要は今後急速に拡大すると予想されます。あらゆる業界でサプライチェーン・物流の効率化や、インフラ管理・セキュリティの強化が求められており、当社が取り組む各種事業もまた、それらの課題解決に向けた継続的な進化が期待されることでしょう。
私たちは、100年を超える歴史にも決して満足することなく、これからも市場ニーズを先取りし、インク開発力とコーティング技術をもって「技術革新」を推進します。そして創業以来変わらない「付加価値を生み出す創造力」をもってお客様のビジネス発展に貢献し続けていきます。
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